太陽はどこにある
まーつん

 俺は
 一粒の砂
 浜に埋もれて
 見分けはつかない

 陽ざしに燃える
 ベージュ色に乾いた
 波線のうねり
 
 その繰り返し

 俺は
 一枚の枯葉
 沢山の緑の
 屍に埋もれて
 遠目には
 見分けはつかない

 俺は
 一本の針
 社会という
 タペストリーの
 縫い目を綴る 針

 沢山の
 銀に煌めく
 お仲間に
 埋もれて 唯
 錆びていくだけ

 洒落た言葉を吐いて
 気取ってみせても
 少しも 特別なんかじゃない

 世の中を支える
 大木の根元に群れる
 痩せた下生えの
 一部に過ぎず

 はるか頭上に覆いかぶさる
 貪欲な樹冠が貪った
 芳醇な日の光 その
 僅かなおこぼれを
 地べたに這いつくばって
 いただいているだけの身さ

 いつか
 何物にも遮られない
 陽ざしの中に 生きてみたい

 深い森の 黒く太い
 沢山の 幹の足元
 その影に蠢く
 雑草の一つではなく

 一本の木になって
 幹を伸ばして立ち上がり
 青空に 手を伸ばしてみたい

 この身を
 栄光で照らしてくれる
 俺だけの 太陽が欲しい

 それが
 過ぎた夢でしか
 無いのだとしても

 やめられないのさ
 求め続けることを

 あらゆる植物が
 陽ざしを求めることを
 やめられないように

 太陽はどこにある?

 この視界の
 翳りを払い

 この身体を
 熱で染め

 この心を
 明るく照らす

 天の大工が
 大空に打ち付けた
 一枚の銀貨

 人が絶望に
 俯くのをやめて
 見上げる為の目標

 希望の目印



 太陽はどこにある






自由詩 太陽はどこにある Copyright まーつん 2013-06-12 19:15:47
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