証
永乃ゆち
昨日一晩、あなたを思って泣きました。
到底手の届かないあなたをです。
願っていれば叶うなんて
嘘でしかない現実の中で
あなたを思って泣きました。
たくさん涙を拭ったので
今朝は倍にも目が腫れ上がっていて
鏡に映ったその顔は
とても滑稽でした。
そんなふうに
あなたを思って泣くことが
こんなふうに
滑稽だとしても。
愛をやめられないのですから
このピエロのような私を
受け入れるしかないのでしょう。
昨日一晩、あなたを思って泣きました。
出会ったことを後悔したことがないかと言えば
嘘になりますが
出会えたことは何よりも私の誇りであり
幸せなのです。
泣けるほどに誰かを愛せたこの心の痛みは
それはそれは贅沢な痛みなのでしょう。
ピエロの涙は
滑稽で
贅沢な
唯一の愛の証なのでしょう。