永乃ゆち

昨日一晩、あなたを思って泣きました。

到底手の届かないあなたをです。

願っていれば叶うなんて
嘘でしかない現実の中で
あなたを思って泣きました。

たくさん涙を拭ったので
今朝は倍にも目が腫れ上がっていて
鏡に映ったその顔は
とても滑稽でした。

そんなふうに
あなたを思って泣くことが
こんなふうに
滑稽だとしても。

愛をやめられないのですから
このピエロのような私を
受け入れるしかないのでしょう。


昨日一晩、あなたを思って泣きました。


出会ったことを後悔したことがないかと言えば
嘘になりますが
出会えたことは何よりも私の誇りであり
幸せなのです。


泣けるほどに誰かを愛せたこの心の痛みは
それはそれは贅沢な痛みなのでしょう。


ピエロの涙は

滑稽で

贅沢な

唯一の愛の証なのでしょう。


自由詩Copyright 永乃ゆち 2013-06-11 02:25:49
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