プル式

小さな小さな箱の中で
僕は不快な虫になった
それはとても静かな箱だけど
時折川の流れの様な音が聞こえたから
多分、人が捨てた河原のマクドナルドの箱の中

僕は小さな虫だから
箱を開ける事が出来なくて
箱の中に残されたレタスと
赤みがかったマヨネーズと胡麻を食べて
白色の壁を眺めている

外では雨
が壁を打つ音が聞こえる
まるで音楽の様に等間隔で音が鳴り
時折リズムを崩して楽しませてくれる
僕は静かに耳を澄ませる

箱の中にはもう何も残っていない
僕はどうすれば良いかを選ばなければいけない
箱は閉ざされている
僕は選ばなければいけない

白い壁の中で
僕は沢山の食べ物と
沢山の幸せを眺めている
幸せそうなの子供と妻と囲む食卓を

外では今日も日差しが強い
僕はそんな事を感じながら妻と水浴びをする
妻と子供は時折見えなくなるが
いつの間にかそばで水浴びをしている

小さな箱の中で
僕は息をしている。


自由詩Copyright プル式 2013-06-10 22:56:36
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