線のうた
木立 悟
白につづく銀と鈍
黄につづく金と土
線は繭にくるまれていて
まるくなり まるくなり
連なりのなか震えている
海と川の鳥たちが
街の橋を
曇の朝を越えてゆく
ふたつの空のまばたきを
線は線に伝えゆく
交差する光のかたちを
繭は繭に伝えゆく
空へとつづく見えない線を
たくさんの羽が見つめている
ふたつの空の重なりの終わり
まるいまるい震えに沿って
羽は季節を飛び去ってゆく
午後のあと夜も無く朝になり
空は目を閉じたまま増えてゆく
新しい色と新しい羽
新しい幾つかのまばたきへ
線はふたつのうたをうたう