初夏
りゅうのあくび

休日のメガロポリスの朝
天空にぐっとくい込むように
コンクリート製の棘として
何本もの電柱が太陽の眩しさに突き刺さろうかと
悲しく立ち尽くしている
アパートの小さなテレビの天気予報は先月になって
例年になく早く梅雨入りを宣言している
梅雨が終われば蝉が鳴く

でも果たして今年は
空梅雨なのだろうかと思ってしまうぐらい
青空があって空気はあまり蒸していない
郵便の仕事をしている僕は
封書に入った手紙が濡れはしないか
心配なのだけれど
まだ東京は晴れの日が多い

ちょうど彼女が
髪を切りに美容室に行ったついでに
そうめんとめんつゆを
買ってきたところで
スタンドミラーをみながら
長い黒髪を触っている

まるで誰かが帽子を
少しずつ集めはじめるように
風はゆるく涼しいけれど
もうまもなく紫陽花は散って向日葵が咲く
雲がきれいで暑い
真夏がそこまできている


自由詩 初夏 Copyright りゅうのあくび 2013-06-08 12:35:17
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彼女に捧げる愛と感謝の詩集