ふるさと
umineko

ふるさとはとても寒くて、ちょっと雪だって積もっていて、吐く息がとても遠くまで届くのでマウスケアってやっぱ大事だよねって気付かせてくれるそんな場所。

山はすっかり削られて白っぽいコンクリートの幾何学模様になっていた。その下は申し訳程度の鋪装道路になっていて、たぶんミニチュアなローラーが何度も何度も踏みしめたんだろうと感心するくらいの徹底したフラットで、その上を通るのはもちろんスーパーカーでも黒田さんの好きな外車でもなく軽トラックとかトラクターとかそういった類いのビークルなんだけど、おそらくミニローラーで前進と後退を繰り返した若い工務店の二世は仕事ぶりが悪いとうわさされるのがいやだったんだろう。

ふるさとは夜が早い。ふるさとはNHKがつけっぱなしだ。ふるさとは否定も肯定もしてくれない。

ちょうどテレビでは震災で村を離れる老婆が泣き崩れる場面。(ありがとう。30年間、ありがとう…。)老婆が泣く。私は、泣くだろうか。第一、私の帰る場所はどこだろう。

…来年結婚することになりそうです。

メールはいつも唐突で、でもそれをびっくりするくらいあっけなく受容できる自分もいて。忘れる努力とか、したほうがいい?でもそんなつもりはこれっぽっちもないんだけどさ。

ふるさとはやさしくもないし冷たくもなかった。思い出が、まるでそうであるように。

あなたが大きくなってゆく。
  
  
  


自由詩 ふるさと Copyright umineko 2004-12-31 07:21:14
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