バンジージャンプを1階から
るるりら

 チャレンジ ソフトなら 30分で150kカロリー
 チャレンジ ハードなら 30分で300kカロリーの消費がみこめます。
 ただ、究極のアンチエイジングなら もっと良い方法があります。
 チャレンジ バードでしょう。バード、鳥ですね。
 そうです。飛びましょう。

ここまでの段階にくるまでの私は、毎日 すこしづつの ジョギングでした。
毎日続けると なにやら相乗効果でしょうか。大地や体の底から謎の力が
湧いてくるようになりました。ランニングハイという状況なのかもしれません。しかしあるとき 半跏思惟像のように座る コーチの言葉に、
良しっ。チャレンジ バード?挑戦鳥だかなんだかしらないが、
 なんでも やってみようと 思ったのです。

渡された地図の通りに行きますと、そこは高層ビルでした。一階のエントランスの美しいこと、さまざまな植物の饗宴でした。
奥に進むと、中央に 透明な扉で仕切られた方丈の部屋があり、扉は すっと開きます。そこに コーチは居ました。最初、メソットのことを教えてくれた時と同じです。 またも 半跏姿勢。そして、澄んだ声で私に こう話を はじめました。


「わたしたちには、尾があります。」
「わたしたちが 尾を失ったから 尾てい骨があるのだと言われていますが、違います。」  
「普段は、見えないし、感じない。ただそれだけのことです。」
「今の あなたには、見えるし 感じられるはず です。」
「目を閉じて 尾を念じたあと、おしりに手を あててみてください。」

すると、あるのでした。尾が、しっかりと。それも、どこまで続いているか解らないほど、ながぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁい、尾なのです。
ながすぎて、尾の先端は 見えません。
「この尾があるから 大丈夫です。これを使って、
バンジージャンプを行います。やってみたら すぐ解ることですが、
どんなアンチエイジングより 及ばないほどの 若返る経験になります。」
「さあ、さっさく やってみましょう。今日は、初日ですから、一階の踊り場から 飛び降りて
あの美しいエントランスに 降りるつもりでいてください。
段差は そんなにないでしょ?では、はじめます。」

わたしは、尾の先端がどこまで続いているかが 気になったものの、
どう考えても 普通の人間の運動神経さえあれば、怪我には なりそうもない高さだと思えたので、今日のところは 素直に コーチの指示にしたがってみることに しました。 

コーチは 説明を つづけます。
「一番 大切なことは、たえず 尾の先端を心で追うことが大切です。
下や周りの景色を観察しすぎるのは、よくありませんよ。」

 そして、わたしは、尾の先端をみながら 後ろ向きに 「えいや」と飛び降りました。






↓ うわ


↓え

↓景色が おそろしく変わるんですけど?

 
↓ ゆうか。
↓ わたしの手も足もなんだか ちいさく なってきたんですけど?

↓ 夜とか昼とか めまぐるしく 景色が変るんですけど?

↓ あ いけね。そっか 尾の先端をさがそう。見えないけど、
↓↑のほうで、尾の先端って、 星みたいですけど?
↓めまぐるしく 先端のあるだろう点を中心に 
↓星みたいなものが 旋回しているんですけど?
↓ ゆうか。景色がさっきから、冬になったり 夏になったり
  めまぐるしんですけど?

↓ ゆうか なかなか 地面に つかないんですけど、 地面ってどこですか?
 
  ゆうか 床は?



↓ ん
↓ ↑
 →


あ あがりはじめたかも。上昇し始めた。地面に足つかなかったですけど?へ?


 びよよよよよよよよよよよよよ〜ん。上昇

 そして、すとん。と、戻ってきました。




コーチは あいかわらず、半跏思惟像のような 御姿。そして、おだやかに
説明をされた。
「あなたは、ほんの、四千年の旅をしてきました。今回は一階からの
バンジーでしたが、次回は 二階から 行いますよ。



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初出「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)に
投稿させていただいたもの

http://anapai.com/CGI/cbbs/cbbs.cgi?H=T&W=T&no=0
タイトルは 加勢さんです。



自由詩 バンジージャンプを1階から Copyright るるりら 2013-06-06 20:45:33
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