Taxi driver
月乃助


街は、いつも
 こぶしを振り上げる 動乱のような
非日常を 人の心にやどす


ちいさなネオンの明かりに立つ少女


夜を踏む女の ピン・ヒールの 短い天使の影


季節を売る
 春を 夏を さびしさの秋さえも


誰もが、娘の価値を知らず
 誰もが、娘の値を知っている


日焼けした手に
 柔らかな小さな乳房の体温をたしかめ
触れれば、次には 激しく腰をうごめかせる


救われようと
 欲望のはきだす そのための 紙切れの枚数をかぞえては、ためらい


そのあげく、去勢された 犬のように
 うなだれ 少女のまえを通り過ぎた


撞球場が音をならす
 娼家が、昭和にあったはず
それは、もう歴史と言う むかし
 なにかを確かめようと、恐ろしくて
ふりかえれば


娘のスカートの水玉模様が、はじけた


まっすぐな眼差しに


ねえ、あんたは ちがうの
 あたしの taxi driverじゃないの


ちいさな人さし指を
 こめかみにあて


pushyuuu
pushyuuu

pushyuuu


三ど 引き金をひいてみせた








自由詩 Taxi driver Copyright 月乃助 2013-06-03 13:32:45
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