平和
ヒヤシンス


透き通る白い羽を雄大に扇ぎながら一羽の白鳥が湖面に波紋を広げる頃、
薔薇園で真っ赤な薔薇が一輪咲いた。
 
蜜蠟が滴り落ちそうな天空を見上げる。
深呼吸すると芳醇なワインの庭園だ。

善と美で彩られた一枚の絵画に偽りは無い。
そこには愛と優しさが深く込められている。

生命の芸術家が集うコロニー。
東洋と西洋の美が交わる夢の空間。

人間よ、恐れるな。
全ては一つになれるのだ。

足元に広がる緑の芝に琥珀の道が伸びている。
純白な心を持つ者は必ずこの道に戻ってくる。

氷のように閉ざされた美しい心はなおも傷つきやすい。
薔薇の棘に癒されることもあるだろう。

苦しみ、悲しみの日々に流された血と涙は決して濁ってはいない。
輝く真珠の玉となり琥珀の道に綺麗な星粒となる。

色とりどりのガラス玉のような過去をしっかりと踏みしめて、
それぞれの未来へ広がる黄金色の今・・この時。

人間よ、共にゆこう。
全ては元より一つなのだから。

雲の隙間から漏れてくる光の帯がコロニーを照らす。
神話の中の神々の祝福。希望。祈り。
信仰は違えども志は皆同じ。
それぞれの神に祈るのは世界の平和。
世界平和が一人一人を救い、一人一人の幸せが世界を築く。

世界よ、潤沢であれ。人間よ、永遠なれ。


自由詩 平和 Copyright ヒヤシンス 2013-06-01 19:23:49
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