暮れかねる
るるりら



【暮れかねる】

ある日 冷蔵庫の中のものが
すべて 薔薇の花になってしまった
五月が さえざえと冷蔵庫の中で咲いていた

ばら肉は どこへいったのだ
薔薇が ここにはあるだけだ


冷蔵庫は 開閉時にだけ灯りがともる
扉が開くとき花は光を得て笑っているようだ
しかし、花は扉とは閉じるためにあるのだよと いわんばかりだ

なぜ美しいの。
なぜ 美しいままでありたいの。
ひとめにふれるのは 毒ですか?

密閉された冷気は いつも 暮れかねている
赤やピンクの輝かしい花々が それぞれ すこしづづ沈鬱をかかえ
紫に 暮れかね
季節を跨ぐ




携帯写真+詩 暮れかねる Copyright るるりら 2013-06-01 18:54:01
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