コネクト
和田カマリ

鉛色の雲から垂れ下がった針金が
くにゃくにゃと編みこまれて
人間の子供の形をなして
歩道橋の上で行進していた

若くて錆付いていない彼等は
大人のように太くは無かった

やがて階段を下りてくると
異形の僕を見つけて騒ぎ始めたが
ジャージから火花を飛ばしている
錆だらけの針金先生の命令で
距離を置くことに決め込んだ

ポケットの中で磨いたペンチを
ジャキジャキさせていた僕は
足が無いので彼らに近づいて
切ったり解いたりできなくて
今回も空振りに終わってしまった

やがて蜘蛛の子を散らすようにばらけたが
どこへいくにも針金で操られているので
大して自由そうには見えなかった

油臭い雨が頬に当たったので
見上げると相変わらず無数の針金が
この街を覆う鉛色の雲から垂れ下がって
地上のなにかとコネクトして
バチバチショートしながら
電気のようなものを垂れ流していた


自由詩 コネクト Copyright 和田カマリ 2013-05-29 19:12:56
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