白詰草
中村 くらげ
歩き疲れた僕たちは
陽だまりのベンチに座って
辺り一面を覆った白詰草が
蜜の香る風に揺れているのを見ていた
君の目はいつの間にか四つ葉を探していて
僕はそのうちに花を摘んで輪っかをつくる
そんな子供みたいなプレゼントを
君は大事そうに薬指へ乗せて笑った
他の誰かからみればよくあるストーリーでも
ふたりで切り取れば宝石みたいに輝いている
そんな何気ない一瞬の喜びを
嬉しい時すぐ取り出せるように
クッキーの空き箱にでも入れておきたいの
ふたりならいつも笑っていられる
約束をするから
ちいさなキラキラを少しづつ
箱いっぱいにしてみたいな