音楽
ヒヤシンス


灰色の湖畔に立ち、白い天の彼方から響いてくる子供達の無邪気な声を聴く。
太い筆で描いたような黒い山々の稜線は、物思いに耽る印象画家の傑作だ。
立ち尽くす事しか出来ない自分は、息をひそめ、その光景と調和する。
天使の歌声は我が身の心の襞をなだめ、湖面に静かな波紋を広げる。

青の時代に戸惑い、光の画家に陶酔する心は純真だった。
しかし今は、足元の砂時計の粒子が圧倒的な力でこの心に標的を定める。
ガラスが砕けて粒子が飛散する前に創造しなければならない。
解放を求める心は砂時計をその灰色の天空に向けて放出する。

魂の放出。
黒く石化した心のしこりをこの湖に投げよう。
出来れば湖面に波紋が広がらないように。

天使の歌声は心の憧れ。
湖面が月の姿を映し出す前に帰ろう。
夢と希望を創造する未来への憧れを見失わないように。


自由詩 音楽 Copyright ヒヤシンス 2013-05-29 15:55:02
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