ゴジラ
……とある蛙

ゴジラに破壊された街

昨日人が往き来した街
昨日車が往き来した街
昨日喧噪と怒号の街
昨日軍が往き来した街
昨日ゴジラが破壊した街


ゴジラが去って何も無い

人もいなければ
建物もない
樹木は無くなり
草だけが生えている
散歩する犬はおらず
徘徊する牛がいる

ゴジラは何も喰わない
ゴジラは誰も愛さない
ゴジラは誰も憎まない

それでもゴジラは破壊する

人はゴジラを憎んでいる
人はゴジラを恐れている
人はゴジラを嫌っている

それでも何も出来ないでいる

結局何の解決にもならないとき
人は他の者の責任にする
人は代わりの者を憎み出す
自分だけは責任がないと言い喚く

この街には何も無い
この街には人はいない
この街には責任がない
この街には社会がない

都合の悪いことは何も無い

人はゴジラを忘れようとする

今までのことが夢のように
とても悲しい顔を見せて
自分だけが生きようとする

ゴジラを忘れようとする人たちの街。


自由詩 ゴジラ Copyright ……とある蛙 2013-05-28 11:02:15
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