世界のはじまり
山中 烏流






記憶の足音がしたから
きみを差し出して
代わりにぼくを貰った
あいつは
自分のことを神様と呼んだけれど
どうだってよかった



毎日が消費されていく
時計の針が重なる度にそう思っては
忘れることを繰り返した


きみが居ても
当たり前のように、そこに居なくても
ぼくは朝食を摂るし
バイトにも行く


誰かの匂いが染み付いたシーツを抱いて
眠るぼくときみ
その姿を
ひっそりと思い浮かべりして




(世界のはじまりに)





きみが知らない顔で
知らないぼくと歩いていく
振り返っても
もう、何処へも行けないから
その姿を追っていく










自由詩 世界のはじまり Copyright 山中 烏流 2013-05-28 06:20:19
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