まぼろし
木屋 亞万
腕が切断されていく
苦痛にゆがむ口元
ぎりぎりと捻じ曲がる針金
漏れる息に混じりこむ声
椅子に座ったまま
ぐるぐると包帯が巻かれていく
皮膚が枯葉のようにがさがさになって
白い布の上に浮き出る
女性の輪郭をなぞる帯は
気が付けばもぬけの殻
椅子の上に散らばる布と枯葉
彼女は腕を取り戻したが
もうどこかへ行ってしまった
自由詩
まぼろし
Copyright
木屋 亞万
2013-05-26 18:59:58
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