犬のぼく
プル式

僕は
犬になった
小さな声で
わん、と泣いて
僕は犬になった

犬の生活は
ことのほか難しく
僕にはうまく
泣いたり笑ったり
出来なくなった

ことのほか
難しい事の他は
とても簡単で
いつの間にか
それを楽しんでいた

ある日人になった
僕は人になった
大きな声で
わんわんと鳴いたけど
犬には戻れなかった

ある日
僕はカーテンレールで
犬になる夢を見た
首輪にひもをつないで
楽しかった事ばかりを思い出して
部屋の隅で流れるおしっこを見ながら
空は青いなあと笑った。


自由詩 犬のぼく Copyright プル式 2013-05-26 12:29:06
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