無くしてから分かるもの
owl

睫毛は視界の檻
目蓋を綴じれば微かな光と闇
眼底に残る光景は
遠くへ置き去りにした記憶

思い出の温もりを反芻させ
失った後の冷たい指で
搾り零れ堕ちた雫を
受け止めるだけ

何故かその水に暖かさを感じるのは
きっと忘れてしまわないように
その時の気持ちを込めていたんだろう。

魂は過去を追いかけるのに
体は未来へ進んでる
引き離される思考は
苦痛と軋む音でいっぱい

時間が経つ毎に煩くて痛くて

忘却の彼方へ
わたしも一緒に放り投げて…
そしたら手枷も足枷も砕け散って
わたしはもう一度羽ばたけるから…。

失ったものは
大切なもので

大切ものだから
失ってから気付くんだ
だから精一杯泣いている

何かを縋って償うみたいに…
無知だった自分を許すために…。


自由詩 無くしてから分かるもの Copyright owl 2013-05-25 20:47:17
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