教室
吉岡ペペロ

神様、仏様、ご先祖様、

ぼくは手を合わせて祈っていた。

目の前では先生が怒っていた。

神様、仏様、ご先祖様、

本当に手を合わせてぼくは祈った。

先生はいちにちにいちど烈しく怒る。

きょうは給食の準備中でだった。

なんで先生がこんなに怒っているのかは重要ではなかった。

神様、仏様、ご先祖様、先生の怒りがおさまりますように、

先生が突然ふてくされたようになってぼくらに質問した。

「おい、きみたちのなかで、この空気をかえれるひと」

静まりかえった教室に水田くんの声が響いた。

「にどとしません!」

先生が黒板をバックハンドで叩いた。

「そんなんじゃだめだ!」

思わず祈るのをやめてぼくは手を挙げた。

「なんだ?きみ変えれるのか?」

ぼくは立ち上がった。

そしてか細い自信のない声でこう言った。

「せんせい、」

教室がさっきより静まりかえっていた。

「せんせい、おなかがすきました」

教室が笑って先生も朗らかに腹をかかえた。

ぼくも顔をひきつらせてすこし笑った。












自由詩 教室 Copyright 吉岡ペペロ 2013-05-22 23:25:28
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