【緑化帯】 詩人サークル「群青」五月のお題「緑」から
そらの珊瑚

【緑の風】

一輪車に乗った子供が
緑の風をうけてゆく

不安定なのに
軽快に

不安定だからこそ
愉快に

たったひとつの輪さえ
あればいい


【蕗によせて】

蕗を茹でたら
純粋な黄緑色になって
あんまり
あざやかすぎて
夢かなとおもう
あんまり
美しすぎて
今日という時間が
夢かなとおもう


【海の中の森】

茎わかめのなかの
潜在意識は
まみどり
熱湯のなかで
目覚めるのです

かつて
海の中の森にいました


【おかいこさん】

この子は
桑の葉しか食べません
ですから
からだの中に
緑色の血が
流れているのです
なのに
はき出す糸は
まっしろで
天からやってきた
とくべつな虫なのです

人の血は
赤いというけれど
どう贔屓目に見ても
採血容器の中の
私の血は黒かった


自由詩 【緑化帯】 詩人サークル「群青」五月のお題「緑」から Copyright そらの珊瑚 2013-05-21 12:29:19
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「詩人サークル 群青」課題作品