便り
salco
春の風は遠くから来ます
夏の風は遠くへ行きます
あこがれ、とは違う
何処か知らない所へと
私を誘います
秋の風は通り抜けます
冬の風は通り過ぎます
喪失を知らしめ
懐かしい者どもとの隔絶を
私に伝えます
ここまで生きて私は
墓石に泳ぐ一匹の淡水魚です
そのように感じます
ところでダムに沈んだ郵便ポストの
一通の手紙
それは誰の為に在るでしょう?
すると人生の総評は所詮
水に溶け出るインクに過ぎないと
言えますまいか
自由詩
便り
Copyright
salco
2013-05-16 23:14:58
縦