名無詩
ただのみきや
遠近感を失くした心に
圧し掛かるコンクリート色の空
それは浮力を相殺し
ひと気のない公園の片隅に
鳩のよう
視線は堕ちて行く
否定も肯定もしない
午後の息苦しさは
酸欠した金魚のように
境界から身を乗り出させるが
人であることの悲しみか
絶対に死ねない自殺にも似て
シナプスが繋がるように
カラフルな遊具に子供たちが群れ始め
時は喫水線を上昇させる
鳥瞰された脳内に革命の狼煙は上がらず
紅茶のような夕焼けで手榴弾を飲み下す
震える胸の発芽
夜のような蜘蛛
理性が想像力を絡め取り
夢の堕胎作業が繰り返される
恥ずべき情熱の乱気流に
置き去りにされた肢体
昼が咥えたまま