間氷期
……とある蛙

何時から皆泳げるようになったのか

すいすいすいすい
人間が横切る
何の不安もなく足が地球から離れる

風はないがもっと重苦しい流れがある
音は聞こえるのだが
ゴボゴボ空気の泡立つ音が一緒で
このノイズはどこへ行っても聞こえる

皆一様に泳いでいる
山を登るのは簡単だ
登るとは
地上における落下で
気を抜けばどんどん上昇する

地上に出ると息苦しい
窒息するほど汚れた大気
水の中が住み処になって
どのくらいたったか

気づいてみれば
手足を失い
言葉を失い
水圧の中で
器用に漂っている

終には記憶を失い自分も失う

浮かび上がるでもなく
深く潜るわけでもなく

喪失したものは時間と重力
死ねば水面に浮かび上がる
空と太陽に挨拶する
そこから沈んでゆく水の優しさ


自由詩 間氷期 Copyright ……とある蛙 2013-05-14 16:51:31
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