条令「第07219号
アラガイs


…ジム 。 …「きみはまだサルの野生に拘り続ける気かい」?
「人類がもっとも人類らしく人種交配の統一に成功したのはそれら感覚器官を変化させる目的のためだろう」?
「一体そのために我々の祖先は何世紀を費やしたと思っているんだ」 。

船に持ち込んで実験したあの緑色の種のせいだよマイク。突然変異で生まれた新種の薬草が効いてきたんだと…*

「あれからまた僕は一晩のうちに七回も淡白に合成された液体を出してしまったんだよ 」。 *

もちろん、あんなところに神経作用を及ぼすなんて考えもしなかったさ。ところが朝になっても収まるどころか、窓から眺める火星が遠退くにつれて、昨日レイが着ていた赤茶けたジャケット。あの後ろから見たときの2つの盛り上がりが、アタマの中に浮かんで消えないんだ 。
彼女の大きく半分に割れた2つの窪みの底に、はじめてこの目で太陽のまわりを追いかけたときのような興奮が、僕の古い細胞から甦り沸きだしてきたんだと思う 。粘る液体を掬いとって宇宙に放り投げたら白い泡の粒が一面に舞って……ほら、土星に降りそそぐ氷の結晶のように…とても綺麗だった。

「あの刺激、あの感覚が…まさか第07219号に該当する性的なモノとはきみだって思いたくもないだろ?」
まるで煤けたアルミニウムの顔色でジムはしばらく考えてからそう言った。目頭は真っ赤に腫れ上がり、すでに無いはずの涙腺までもが再び活動を開始するように… 。
話す合間にも、その手は理由もなくずっと下半身の小さな膨らみを抑え続けていた 。

「もうすぐ第3惑星が小さく見えてくるよ。相変わらず青いガラス玉さ
もし快感が中枢部まで作用するならまた実験をしないといけないね」 。*
立体画面の枠をいっぱいに使いながら
マイクはペロフスカイトに固まる氷の顔に溝を引きつらせてそう言い放った 。*
船のパワーは99.99Å%を使いきっていた 。










自由詩 条令「第07219号 Copyright アラガイs 2013-05-14 05:59:32
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