電波星人の孤独
梅昆布茶

いつもヒーローのかげで彼の役回りは決まっていたんだ邪悪の仮面を纏わされてね
子煩悩な彼の私生活なんて誰も取り沙汰もしないんだね

彼の故郷は地球よりも遥かに道徳的に高次な世界善悪さえもありはしない
それを判断する必要もないほどに成熟した社会なのだなのに
なにも訴求しない分彼は悪役を押し付けられてしまうのさ
都合よく何かを隠す為に利用され続けても不満も漏らさないし

でもね子供達ももう気づいているのさヒーローだってさ日常はただの人
悪役にだって存分に情もあり友好的であること
ほんとうの敵は僕や僕らのなかにけっこう潜んでいること
闘う必要性やヒーローの存在意義やらアンパンマンとウルトラマンの差異や序列化の無意味さや
天変地夭には善悪さえもないことを知ってしまっているんだ

もう電波星人は孤独ではないのかもしれない
孤独は別なところに張り付いて僕達の依存を待っているのかもしれないのだ

僕たちはこんな罠をすり抜けながら捉えられながら生きてゆくさ

僕達こそヒーローなのかもしれないんだ




自由詩 電波星人の孤独 Copyright 梅昆布茶 2013-05-13 05:55:17
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