模倣と擬態
るるりら

ひとり さまよう  おひとりさま 酔う
大海を さまよう  いっぴきのいか
あたりのいろに   自身を染めながら


いかがなものか 敵があらわれた
いかのからだは またたまくに変化し あたりの色形になる
いかんせん 敵もさるもの いかの誤魔化しは やぶられた

いかは ついに 吐く、イカ墨を。
いかすみは 浪間にゆれて いかのように伸びる
いかばかりか いかのような いいにおいすらする そのイカ墨 

いやはやこれでは さすがの敵も いかの墨の中に その身をつっこみ
いかは みごと 敵をあざむく

なんと いかした いかの うごき。嗚呼 女性ならだれでも惚れる
「いかが かしら あなたも おひとりかしら」
いかの手足は海流を読む いかの手足がすこしふれあう
いかには いかにも時間がなくて 潮流の隙間で愛をはぐくみ

またたくまに そのすぐれた洞察で ふたりは睦み
またたくまに お互いの海を確認し ふたりは波間にスイングし
波の歌を 模倣を 伝達しあい
月の光を 模倣し 伝達しあい

いかした いかとして さらに いきぬく 
 

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初出「あなたにパイを投げる人たち」の即興ゴルコンダ(仮)に
投稿させていただいたもの

  http://anapai.com/CGI/cbbs/cbbs.cgi?H=T&W=T&no=0
タイトルは、こひもともひこさんです。


自由詩 模倣と擬態 Copyright るるりら 2013-05-12 00:49:16
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るるりらの 即興ゴルゴンダ