黒板消し
灰泥軽茶

バイクで信号待ちをしていると
学習塾の窓がそっと少し開き
にゅうと黒板消しを持った手が現れた
ぱんぱん一生懸命腕を振って
ぱんぱん外壁に叩いているのだが
あまり白い粉は出てこないみたいだ

観念したのか窓はゆっくりと開き
にゅうと瓶底眼鏡くんが現れ
威勢よくふりかぶって叩くと
白い粉は勢いよく舞いあがり
彼をすっぽりと覆い
教室にもわもわと入っていった

彼は目をしばしばさせ
あっちへいけあっちへいけをしているので
あんまり可笑しくて笑いながら眺めていると
彼も気づきこちらをちらちら気恥ずかしそうにしている

信号機が青に変わった
ちょうど頃合い
バイクを勢いよく発進させた




自由詩 黒板消し Copyright 灰泥軽茶 2013-05-10 23:11:41
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