桜を憎む
Neutral

散りゆく花びらの数は
無尽蔵
その美しさを見ていた僕は
ふと
憎くてたまらないという想いにとらわれてしまった

こんなにもキレイだと
枯れるまでずっと眺めていたくなる

なにが桜前線 桜の雨
その気持ちはまるで 女の嫉妬のようだった


なぜ…人は何かを憎むのだろう


ふふふ
私きれいでしょ
なんて 着物を振り回して
いい気になってるのか
そのまま丸裸になっちまえ
僕が見ていてやるから

実際
おまえという一本が咲くまでに
どれだけの命を吸ってきた?
花びらを 振舞い振舞い 無一文
その一部始終を誰かに見られたらさぞお前は悔しい事だろう

人は花が咲き始める瞬間や
枯れ始める瞬間を目撃する事はない
たまたま訪れた場所で咲いていて
しばらく経ってまたそこに来たら枯れている
人は花というものをその程度にしか見ていない
だから普通は見せる事のない姿を見られたら
さぞお前は悔しいんだろう
だから
僕が見ていてやる

見上げて
そして気付く
この感情は女の嫉妬じゃなく
大好きな人を泣かせたくなる男の恋心だと


憎いだろう 悔しいだろう…


そうだ
お前が枯れるまでずっと
僕はここを動かない

お前が全てを無くすまで
ずっと
ここで眺めていてやるよ


自由詩 桜を憎む Copyright Neutral 2013-05-10 17:45:56
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