ちゅんちゅく
藤鈴呼

電線には 雀

絶対に 会話している風な笑顔で
闇をも すり抜けた

鴉は 怖くない

そもそも 黒い存在を 忌み嫌う理由が 
分からないのです、と

溜息を 吐きながら
嘘の 続きを 考えている

物語ならば
頁を捲れば
自動的に 進んで行くのでしょう

この町では
一歩 前に 踏み出さなければ
濁流に 呑まれていくから
とても 心配で

掬われそうになった 足を
もう一度だけ 引っこ抜いてから

未だ アタシは 大丈夫 と
呪文のように 唱えて
思い出すの

空を 見上げたら
ちゅんちゅく
可愛らしい 音が すること

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自由詩 ちゅんちゅく Copyright 藤鈴呼 2013-05-09 08:23:23
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