花形新次

岬の突端に立ち
両手を広げたとき
長い髪が風にそよいだ
色は草の緑
影も同じ
名を呼ぶと
振り向いた頬は
今吸ったばかりの
塩混じりの空気で
薄ピンクに膨らんだまま
「なあ〜にい?」
返事と同時に
風に溶けて
消えた
このまま景色と一体になっても
きみならば
みんな許してくれる
だから
全力で
きみに駆け寄って
全力でタックルした


自由詩Copyright 花形新次 2013-05-08 12:15:20
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