墓を作る
ドクダミ五十号
【カロート】
骨を収めるところだ
簡単じゃないよ
市民の骨を有料で収めるうつわだからね
俺はそんな仕事は嫌だったが
青焼きを渡されちゃ嫌とも言えず
自ら重機の操りもし
配管(それが必要か?収めるのは”骨”だぜ?)
勿論
ちょうはりは自ら
トランシットの操りに
上司は驚いた
どこでそんな技量を得たか
俺は問いに答える
「なあに、人生の一片ですよ」
「実はな、この仕事には裏があるんだ。汚い契約なんだ」
直ぐに常務と代表取締役が浮かんだが現場とは無縁だよ
俺は仕事を肝終するだけさ
二%の勾配?上等じゃねえか
五メートルごとのちょうはりをかけてやんぜ
道糸も俺がはる
役人?
知ったことじゃねえよ
綺麗に並んだ墓
「市民墓地」だとよ
やり遂げた事なんて
誰も知るまい
出来れば葬送の
時に
カロート職人の
一人が居たって
思い出してくれりゃ
満足だ
芝生に覆われた
墓地の
うそ臭い
底に
俺の真心が這っている