墓を作る
ドクダミ五十号

【カロート】

骨を収めるところだ

簡単じゃないよ

市民の骨を有料で収めるうつわだからね

俺はそんな仕事は嫌だったが

青焼きを渡されちゃ嫌とも言えず

自ら重機の操りもし

配管(それが必要か?収めるのは”骨”だぜ?)

勿論

ちょうはりは自ら

トランシットの操りに

上司は驚いた

どこでそんな技量を得たか

俺は問いに答える

「なあに、人生の一片ですよ」

「実はな、この仕事には裏があるんだ。汚い契約なんだ」

直ぐに常務と代表取締役が浮かんだが現場とは無縁だよ

俺は仕事を肝終するだけさ

二%の勾配?上等じゃねえか

五メートルごとのちょうはりをかけてやんぜ

道糸も俺がはる

役人?

知ったことじゃねえよ


綺麗に並んだ墓

「市民墓地」だとよ

やり遂げた事なんて

誰も知るまい


出来れば葬送の

時に

カロート職人の

一人が居たって

思い出してくれりゃ

満足だ


芝生に覆われた

墓地の

うそ臭い

底に

俺の真心が這っている


自由詩 墓を作る Copyright ドクダミ五十号 2013-05-07 19:44:49
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