さよならスーパーマーケットさん
灰泥軽茶

本日をもって閉店させていただきます

うちから徒歩一分の
スーパーマーケットが何十年かの幕を閉じた

棚はがらがら
生鮮食品とお惣菜ぐらいがあるだけなのに
人が溢れてうねりうねって彷徨っている
素材や味こだわった
少し高めのプライベートブランドが好きだったのに
高すぎず安すぎず安心感あってちょうどよかった

ウインナー
とろけるチーズ
おにぎり用海苔
さば節
トイレットペーパー

とりとめもないものを買い二階に上がる
もうフライパンばかりが
どうせ買わないだろうと
陶器やタオルやバスマットがワゴンに寝そべっている

そういえばレジの女性で
よく自転車同士で夕方すれ違っていたけれど
もうそんなこともないんだなあと
あちらも気づいているはずなのに
たくさんあるレジの中でいつも無意識に並ぶと
その女性に当たりなんだか気まずいけれど
レジではいつも知らないふり

さよならスーパーマーケットさん
時代の波に流されちゃったけれど
跡地には何が建つかで噂はもちきりだけれど
おつかれさまでした

いらっしゃいませ
ありがとうございました
いったい何億回のあいさつが店内に響いただろうか
最終日だけは
またご来店くださいませがないけれど
わんわんと心の奥でこだまして
店を後にする







自由詩 さよならスーパーマーケットさん Copyright 灰泥軽茶 2013-05-06 22:53:23
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