坂道をのぼると
Lucy

ぱたぱたとひるがえるちいさな二足のズック靴
幼稚園への近道で
つないでいた手を離し
走ってもいいよというと
かならず笑い声をあげながら
細い坂道を駆け下りていった
その弾む後ろ姿を
おぼえていようと
その時思った


わたしは自分を幸福なおかあさんだと思った

その坂道をひとりゆっくりと登っていくと
私はその時の自分とすれ違う

あの時思い浮かべた通り
十年後二十年後の再び一人になった自分に
わたしはここで出会うだろうと







自由詩 坂道をのぼると Copyright Lucy 2013-05-06 09:34:24
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