風のない日
らいみ

風のない日に
風を探しに行く
吹き始めるところを知りたくって

風に似た音を求めて
ヤブに入り込む
茂みを抜けたらいきなり開けた原っぱに出て
キャンプファイアーで盛り上がる人の輪を見つけた
この音は炎のわき立つ音
輪の中央では
炎と同化した獅子がたてがみ振り乱して踊っている
その周りで動いている空気は風か?
違うような気もする

いったいどういう流れが風だったのか
確かめておけば良かった

炎はすごい勢いだったから身体が熱くなった
くるりと振り返った瞬間に
耳のあたりに冷たい空気を感じて
ドキリとする
でもこれではないよね?

風の定義を忘れてしまって
脳のどこにも手がかりがない
心のひだをめくってもめくっても
何の証もない

計算機を出してとにかく百で割ってみて
右の靴を飛ばして明日の天気を予想して
磁石の指す南を目指そう
シャンプーするのも一つの手かもしれないな
まてよ その前に時計を合わせる?
チャーハンを先に食べた方がいいかな
しまった
まず人差し指をなめて 頭の上に掲げなければ!


自由詩 風のない日 Copyright らいみ 2004-12-29 00:15:29
notebook Home 戻る