かちかち咀嚼
灰泥軽茶

かちかちと歯を鳴らす音で目が覚める

なにか美味しいものを食べていた

食べても食べても太らない

溢れる色の塊

輪郭はおぼろげだが

齧ると硬くて脆いその不思議な感覚が

奥歯を鳴らし

ほおばりほおばり

咀嚼する快感だけが夢の中を浮遊する

むしゃむしゃ気持ちいいなあ

もっともっと

夢の中ですごくごきげんな私は

目が覚めた後もしばらく覚醒しているのに

かちかちと歯を鳴らし余韻を楽しみ

夢から溢れ出た消えかけの輪郭をぺろりといただく








自由詩 かちかち咀嚼 Copyright 灰泥軽茶 2013-05-04 23:25:13
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