nonya


切れ切れの
ビブラートが
君の内側に吹く
風の形を囁いた

痛みのような
ブレスが
君の内側を巡る
水の温度を呟いた

耳ではなく
皮膚の下の
毛細血管の先端で
僕はそれを受け取った

思考ではない
色彩の雫が
僕の内側に落ちて
緩やかに波紋を広げた

最後の全音符が
消え入る頃
僕の真ん中に打ち寄せた
温かいさざめきは

揮発したと思っていた
歌の言葉を
ふくよかな澱のように
僕の岸辺に
染み込ませた




自由詩Copyright nonya 2013-05-04 08:58:02
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