まさかの最中
灰泥軽茶

小六修学旅行京都八坂神社
昔ながらの雰囲気のある
土産物屋に無造作に掲げられる
最中の二文字
ひらひら軒下にゆれる
人気のなさが胸を打ちはじめる

さいちゅうって
なんのさいちゅう
まさか
昔茶屋は男女の逢い引きするところって
どこかで読んで
京都にはそんなところがたくさんあるらしい

もしかして
いまここで
こんな小さな土産物屋の奥で
男女が逢い引きしているなんて
こんなあけっぴろげでいいのかしら
アバンチュールにも程がある

なんてひとり興奮して鼻息荒く
最中の小さな旗を目に焼きつけ
とんだ勘違いをした
まさかのもなか
八坂神社を通るたびに恥ずかしくて身もだえる


自由詩 まさかの最中 Copyright 灰泥軽茶 2013-05-03 23:37:35
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