隻翼は虚空に踊るのみ
相馬四弦

空の上なのか

下なのか

正六面体のせかいの

中心点に浮かんでいる

始まっているのか

終わっているのか

翼に穿たれた風穴を埋めるには

唾液だけでは足りなかった

四方八方

大陸の 都市の 大通りの 人ごみの

見上げる百億の焦点が

対を崩した私の姿を笑いながら

何度でも飛べと命じている

地球の裏側から届けられた

白く柔らかな重力に誘われて

ひとひらの翼が踊っている






自由詩 隻翼は虚空に踊るのみ Copyright 相馬四弦 2013-05-03 16:15:38
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