ざわめく
未有花

鮮やかな緑の波を揺るがして
強い風が吹き抜けて行く

その風にあおられるように
忘れていた何かが目覚めようとしている

あなたと出会ったのはこんな緑の季節でした
お互いに愛し合いながら傷つけあった二人
そんな二人がうまくいくはずもなく結局恋は実らなかった

今ではもう忘れてしまったあなたへの想い
でもこんなふうに風の強い日は心がざわめいて
あの時の想いが溢れて来てしまいそうで
怖いのです


ざわめく ざわめく
ーーあの日恋は終わったはずなのに

ざわめく ざわめく
ーー心の奥で悲鳴をあげている想いに気づく


すべてをなぎ倒して
風は緑の中を駆け抜けて行く

その風にあおられるように
忘れていた何かが目覚めようとしている

どうしようもない想いに翻弄されながら
私はひとり風に吹かれていた



自由詩 ざわめく Copyright 未有花 2013-05-02 09:36:39
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