僕たちの今を正しく生きる術はない
瀬崎 虎彦
夜に旅をしていた
亡骸の
軽い足音を聞いていたら
もう戻れなくなってしまう
草ばかりが広がっている
広い場所だった
帰り道はわからないし
どこへ向かっていたのかも分らない
声だけが最後に残る
微笑よりもそのことを憶えて
葉の上を走る水滴のように
一瞬のことだったといつか
思い出す日が来るだろうか
僕たちの今を正しく生きる術はない
自由詩
僕たちの今を正しく生きる術はない
Copyright
瀬崎 虎彦
2013-05-02 01:20:41