ドアトゥドア
Seia

陶器の便座に腰掛け見ている
このドアを
あけた向こうがお花畑だったら
どんなに素敵かと思う
そして
どんなに寂しいかと思う

誰もいない楽園は
誰もがいる俗世を
羨んでいないだろうか

誰もいない楽園に
一片の流木が着いた時
歓迎されるのだろうか

水音を聞きつつトイレを出ると
そこには
いつもの廊下があって
少しホッとしたよう
そして
少しがっかりしたような

誰もいない楽園は
誰かが来るのをずっと
待っているのではないか

誰もいない楽園で
一本の木が倒れた時
音はするのだろうか

頭の隅に楽園をおいたまま
歯磨きを
洗顔を着替えを等々全て終え
もしかしたら もしかしたら
と期待して
私は玄関のドアを開けた


自由詩 ドアトゥドア Copyright Seia 2013-04-29 19:58:00
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