森に住む女の子
勇者
ある女の子がある森にお母さんとお父さんといっしょに住んでいました。
女の子のお父さんとお母さんは毎日ケンカしてばかりで女の子のことはちっとも気にかけませんでした。
「もうこんな家にはいたくないわ。」
女の子は森に出かけました。
「はあはあ。」
女の子が少し歩くとアリに出会いました。
「やあアリさん。あなたは楽しそうね。たくさんの仲間と生きているもの。」
「そんなことはないさお嬢さん。僕たちはみんなで一人前だからね。いづれ一人で生きられる君が羨ましいよ。」
「はあはあ。」
女の子がまた少し歩くと湖に着きました。
「あらこんにちはお魚さん。あなたは楽しそうね。水の中で泳いでいるだけだもの。」
「そんなことはないさお嬢さん。僕は水の中でしか生きられないからね。土の上を歩ける君の足が羨ましいよ。」
「はあはあ。」
女の子がまた少し歩くと切株がありました。
「そこにいるのは切株さんじゃない。あなたは楽しそうね。ずっと同じ場所にいれば小鳥さんが遊んでくれるもの。」
「そんなことはないさお嬢さん。僕はもう切られてしまったからね。まだ大きくなれる君が羨ましいよ。」
「はあはあ。」
女の子がまた少し歩くとひらけたところに出ました。
そこは自分のお家でした。
「まだまだ私も捨てたもんじゃないわね。」