ネーミング
村正
そこだけは器用だった
二つの座標で審判になる
本能をかたる自虐に筋はない
責められなくなった
さじ加減は不器用だった
正直者はたいてい犯罪者
救うのはしってることだけ
肩まで透けても気付かない
呆れるくらい向き合ったら
悪が見つからなくなった
好きなものがたくさんあった
好きな人もたくさんいた
観覧車に乗って
誰も笑わない
今うみねこがくわえたのが孤独
遠くのコンテナは憎悪で出来ていて
あの大きな木は苦悩と呼ばれていて
それから、
見飽きない場所を探しに
目を伏せなくて良いように
カーテンは窓から放たれた
雲の下まで飛んでいく
ガーデンでも俺は鼻ったれだ
天国への入り口は案外安っぽい
それから、
深呼吸をして
窓からの風に名前をつける