ダイブ
Lucy
君と初めて
手をつないで歩いた
赤錆びた鉄橋の上の
線路づたいに
まるで世界のはじっこに
流れ着いた人のような気分だった
空は重く
カラスが頭上を何羽も
飛び交い
柱の上からこちらを見下ろしたりしていた
予期せぬ出来事のように列車がやって来て
僕らは走った 狭い避難所に身を寄せ合うと
猛スピードで過ぎ去る時代の風圧に
君にかけてあげた僕の上着は吹き飛ばされそうだった
あの日鉄橋の一番高いところから
ダイブしたのは
僕の夢だったのか
君の夢だったのか
それとも
不吉なカラスたちだったのかい?
(初出「蒼原」60号)