月と哭け
アラガイs


消したいのか取り戻したいのか
未来と言う名をつけたのは知らない
いくら石を投げつけても跳ね返ってくるのはわかっていた 。
それでも止められないのは閻魔と交わした契約だろう
予感と引きかえに閻魔は華やかさを手に入れる
金色に餌を啄む烏の群れ
この国ではそれを仕来たりと言うらしい 。

窓は奇妙な灯りで照らされていた 。
隠れる寸前の紅い月がこちらを伺っている
投げつけた石を哀れむように
、再びふり返ったときには既におちていた
それは懐かしい色味を帯びた、はじめてみる透明な紅い月だった
暗闇になれば透写された烏のその姿
影は戯れることもなく
、烏はふかいふかい眠りにおちてゆく 。

思春期の蒼い夜が明ける頃
この国では色彩を持たない若者が街を遮断する 。
湾曲に投げ返されたとき
角のない石は軽かった
満月になれば烏は飛び交い
その目立たない姿で石を避けるだろう
擦れすぎた袈裟の地が灰色におちて
季節は彩りを迎える
叫び声がわからない
//暗闇のなかで
、また何かを投げつけられたような気がした 。













※改訂あり
※再修正あり




自由詩 月と哭け Copyright アラガイs 2013-04-24 14:07:11
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