黒板消し
まーつん

  間違いを犯し続ける
  勇気が欲しいね

  何が正しいのかを
  忘れてしまわないうちに

  黒板に殴り書きされた
  白いチョークの言葉を覚えてる?
  あれが最初の知恵だった

  沢山の大人たちの手が
  黒板消しで 消しては書き
  消しては書きを 繰り返して

  沢山のただしさを
  覚え込ませては
  忘れさせていった  

  冬の小学校を覚えてる?
  沢山の勉強机を
  きれいに並べていた
  従順な子供たち

  教壇の脇にあった
  石油ストーブの薬缶が
  シュンシュンと湯気を立てる

  窓の雪景色に言葉を奪われた
  僕ら小さな者たちは
  ただじっと光を見ていた

  ただしさは
  どんな声にも
  語られていなくて

  あの静けさの中に
  浮かんでいたよね

  魚眼レンズで覗き見る
  遠く霞んだ 絵画みたいに


自由詩 黒板消し Copyright まーつん 2013-04-24 10:23:50
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