ザカリー
ゴースト(無月野青馬)

出来事の奇妙さに
不気味さに無機質さに
呪術に
気付いた時には
ザカリーは森の中


追いやられたと証明は出来ないけれど
優先順位を崩してまで
秩序から外れた
ザカリー
追い立てられていたと証言は出来ないけれど


誰にも
否定の言葉を吐かないで
何時の間にか
始めから存在していなかった者のように
霧のように消えてしまった
あの日のザカリー


飲みかけの紅茶も食べかけのケーキも
書きかけの日記も
そのままに
マヤ人のように消え失せた


ザカリー
奇妙なんだ
あの日から
何故か
奇妙な
君の夢をみる
地球上の人の中で
分かり合える人なんて
いないと言っていたのは
嘘だったんだね
君が向かったのは
夢の続きかもしれないと
予感した時に目が覚めるんだ


夢魔は美しくなんてないと
気付けていたのなら
聖なる印を
踏みにじらなかっただろうに
たかる奴等には
火を与えてしまえば
良かったのに
それが出来なかったんだ
ザカリーもきっと


奔放には生きられない
君の
生活の余韻が残る机には
目には見えないけれど
忍び寄る影に包囲されていた頃の君の
最後の抵抗の跡が
遺っているのだろう


ザカリー
君は行ってしまった
もう手の届かない
メルヘンの国へ


ザカリー
もし君と
もう一度巡り会えるのなら
例え君が
ゾンビになってしまっていたとしても
僕は構わないよ
もしも君が
ゾンビになっていたとしても
僕が隠してあげるから
僕は
ザカリー
もう一度
君と話がしたいんだ
君が信じていた
魔法の話をもう一度
聞きたいんだ
君のようになりたいんだ
ザカリー
僕も消え失せてしまいたいんだ





自由詩 ザカリー Copyright ゴースト(無月野青馬) 2013-04-22 20:09:45
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