暮れと水
木立 悟






目をつむれば
かたちは動く
ふちどりに触れる
濁音の息


風から風へ
羽と脚
枝のなかの重力
踏むごとに星の曇


やまない雨をなだめながら
手のひらと手のひらのあいだにひとつ
現れては消える花を見ている


此処には長く居ることができない
壁のようにつづく無数の入口から
暮れの光がのびているが
どれひとつとして踏むことができない


鉄のむこうに雨は昇る
川は海の目の前で
深く深く息を吸う
空はまだ 羽のかたまりを抱いている


斜めの陽のなか
針は廻る
重なるたびに
またたいている


凍った街から
うたが聞こえる
風車は止まり 聴いている
楽器のふくらみをなぞる指


夜の前のすべてのかたち
雨音のまぶしさにさまようもの
負のように否のように羽ばたいている



























自由詩 暮れと水 Copyright 木立 悟 2013-04-17 11:04:54
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