こんな夜に死んでいくのかもしれない
いとう

深夜
血を吐きました
世界が
美しくなりました

君には秘密にしておきます

部屋の中は君の寝息でこんなにも静かなのに
テレビの中では相変わらず人が死んでいきます
閉じられたブラインドからは
雨の音さえ聞こえてこなくて
僕が
僕たちが
世界の片隅にいることすら忘れてしまいそうで

また
血を吐きました
美しい世界と
つながっていきます

ブラウン管の映像が僕の体に映し出されます
映像の何もかもが僕に染み込んで
君が眠るかたわら
君の知らない間に
死んでいくのかもしれません
死んでいるのかもしれません

君には秘密にしておきます
世界の片隅の
小さな秘密なのです
朝までの
君が目覚めるまでの
君が取り残されるまでの
絶対の秘密なのです




未詩・独白 こんな夜に死んでいくのかもしれない Copyright いとう 2004-12-28 01:15:29縦
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