羊羹
はるな


そらがきちんと黒くなるのを待ち
肌をみがいて 髪をととのえ
それからすかすかの入れものを二十一個ならべる
そしていつもの手順できれいに切り分けた黒を
(それは上等の羊羹みたいにしっかりと重たく、切り分けた端はすこし溶けている。
切り分けられたそれぞれはわずかずつちがう黒色をしていて、
触れると触れた分だけ薄まってしまう)ならべた容器へおさめてゆき
もしも容器があまればあまった数のぶんだけ自分のからだを切り分けておさめ
最後にはすべてのふたを閉じる。

ぱちぱちとふたを閉めてゆく音の二十一回めで
人びとは目を覚まし、
黒いもののない空のしたでまたあらゆる感情を展開する。


自由詩 羊羹 Copyright はるな 2013-04-14 19:49:13
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